クレイジーな客から学ぶ接客業の心得

今週、びっくりする客に当たりました。とりあえず彼女のことをキャサリン(推定52歳。眉間に深い皺が刻まれた激痩せの白人女性)と呼ぶことにします。

その日キャサリンはヘアカラー+マニキュアの予約をしていました。彼女に近づいて行って「Hi I'm Daisy. I'm doing your manicure today....」と軽く自己紹介をし、今日はどんな色を塗りましょうか?と聞きました。(今働いてる所はヘアサロンに併設されているので、マニキュアは客がヘアカットやカラーなどをしてる最中にやることが多いんです。その場合はポリッシュの色も大体の希望を聞いて私が選びます)

キャサリンがナチュラルな肌に馴染む色が良いというので、彼女に似合いそうな色を三色持っていって見せたところ、「全部変な色ね。悪いけど他の色持ってきて。」

ちょっとトーンを変えてまた三色持っていくと、「何なのこれ?どれもこれも私に似合うわけが無いじゃない?私はね、白っぽい色は嫌なのよ。あと黄みがかってるベージュも駄目。それからピンク過ぎるのも嫌いなの。あんたって全然分かってないのね。とにかくこれじゃぁお話しにならないから他の持ってきて」

またナチュラル系のを三本持っていって見せるとキャサリンが大きなため息を一つついた後、「あのね、何度も言うようだけどこういう色は私の肌には合わないのよ。分かってんのほんとに?仕方がないわ、私が選ぶしかないわね」と言いながらSpaへ歩いて行きました。そしてポリッシュの置いてある棚を見た途端に怒りが爆発。

「ポリッシュ、これしかないの?!(ちなみに結構揃ってる方だと思います) あんた達のSpaって最悪ね!こんなどうしようもないセレクションの中からどうやって選べというのよ!?(色々ポリッシュのボトルを手にしながら)これも変、これも下品、これも気に入らない、全部最悪よ!!ムカつくけれど一番マシなので我慢するしかないわね。(この時私が一番最初に持って行ったボトルを手にしてました) どれもこれも呆れるほど趣味の悪い色だわ全く」と言いながらSpaを後にするキャサリン。そんなに嫌なら他のサロンに行けばいいのに。NYにはネイルサロンが掃いて捨てるほどあるんだから。・・・なんて思ったけどまさか口にすることも出来ません。

ヘアカラーをする所の椅子に戻って彼女のマニキュアを始めてからもずーっと私をなじり続けるキャサリン。「あんたってほんとに色を選ぶセンスがないわよね?私の肌の色をもう一度見なさいよ。これにベージュ系の色を合わせたら肌がくすんじゃうでしょう?どうしてそんなことも分からないの?全くお話しにならないわよ」

あまりにもびっくりして返す言葉も無かったので彼女を無視して古いポリッシュを落としていると、1本の爪が不自然な感じなのに気づきました。何だろうと思って詳しく見ようとしたら「それはラップ(人工爪の一種)よ」とキャサリン。私は「あぁ、そうですか」とだけ答えました。するとキャサリンがいきなり「あんたネイリストになってどの位なの?」と聞いてくるので正直に「1年未満です」と答えると、「つまり経験無しってことよね?私がラップしてるのも気づかなかったし、色もまともに選べないし。悪いけどあんたみたいな子にマニキュアしてもらいたくないわ!」

そう言い放ち、席を立ってネイリストを変えてもらう為にフロントデスクへ行ってしまいました。心底びっくりしました。一体何がどうなって彼女があそこまで怒っちゃったのか。びっくり呆然となりながらも、キャサリンのマニキュアをしないで済むんだ、と思うとホッとしたり。他のスタッフに聞くと、彼女は何をしてあげても気に食わない、いつも支離滅裂なクレームばかりつけてる人だから気にしちゃいけないよと言ってくれたけど、ショックでその日はこの出来事がずーっと心に引っかかっていました。

数日経った今も、このことを考えるとちょっと落ち込みます。もちろん、私が数秒でラップだと見抜けなかったからとか、気に入るような色を選んであげられなかったから、とかではありません。私は客であるキャサリンに喜んでもらいたくてベストを尽くしたのに、その誠意が伝わらなかったから。彼女が正常な精神の持ち主でないことは明らかでも、私の誠意のかけらさえも感じてもらえなかった事がショックでした。

100%の客を完璧に満足させるのは無理なのですね。それを身をもって学んだ週でした。常に謙虚な気持ちで仕事をし、なるべく客の意見は尊重されるべきでしょうが、キャサリンのようなクレイジーな客にもへこたれない頑強な精神を持つことも大事。客にへつらう為に仕事をしてるわけではないのだから。
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by daisyduke | 2006-12-18 06:47 | ネイル